Published On: 2025年5月13日Categories: 特許権・実用新案権の取得By
アイデアで特許を取得するのにかかる費用は?弁理士がわかりやすく解説

先進的なアイデアを思い付いた場合、これついて特許を取得したいと考えることもあるでしょう。

では、アイデア段階であっても特許は取得できるのでしょうか?また、アイデアについて特許を取得するには、どのような費用がどの程度かかるのでしょうか?

今回は、アイデアについて特許を受ける要件やアイデアについて特許を取得するためにかかる費用、アイデアに関する特許取得について弁理士に相談する主なメリットなどについて解説します。

なお、当事務所「中辻特許事務所」は特許出願の実績が豊富であり、アイデアに関する特許出願やアイデのブラッシュアップ段階からのサポートを得意としています。アイデアについて特許を取得したいとお考えの際は、中辻特許事務所までお気軽にご相談ください。

アイデアで特許は取れる?

次で解説する特許を受けるために求められる要件さえ満たしていれば、アイデア段階で特許を受けることは可能です。特許を受ける要件に、たとえば「すでに試作品を制作していること」や「すでに発明を実施していること」などは含まれていません。

むしろ、そのアイデアを実施した製品をすでに一般発売してしまった段階では、「新規性」要件がクリアできず特許の取得が困難となります。革新的なアイデアであれば、他者にそのアイデアについて特許を取得されてしまう前に積極的に出願をすると良いでしょう。

ただし、アイデア段階である場合、実際にその特許発明Aを実施するにあたって仕様が変更となる可能性があることには注意しなければなりません。製品化にあたって仕様が変更されたとしても、発明Aについてすでに権利化しているのであれば、発明A自体の変更は困難です。

この場合には変更後の仕様を反映した発明Bについて新たに出願し、発明とは別に権利化を目指すこととなるものの、すでに権利化された発明Aの存在が障害となり新規性要件や進歩性要件を満たせず、権利化できない可能性が生じます。

そのため、アイデア段階で特許出願をする際は実績豊富な弁理士のサポートを受け、アイデアをブラッシュアップすると良いでしょう。また、分割出願などの出願戦略を検討することで、仕様変更や技術の追加に対応できる可能性もあります。

中辻特許事務所は戦略的思考に強みを有しており、を戦略をもってアイデア段階からの特許出願サポートします。アイデア段階での特許出願を目指したい場合には、中辻特許事務所までご相談ください。

アイデアについて特許を受ける要件

アイデアについて特許を受けるための要件について解説します。

  • 発明であること
  • 産業上の利用が可能であること
  • 先願であること
  • 新規性があること
  • 進歩性があること
  • 公序良俗に反しないこと

発明であること

1つ目の要件は、発明であることです。特許は発明を保護する制度であるため、発明に該当しないアイデアでは特許を受けることができません。

発明とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」です(特許法2条1項)。発明に該当しないものとしては、次のものなどが挙げられます。

  • 「自然法則を利用した」ものではないもの
    • 自然法則ではないもの:計算方法、遊戯方法、経済法則など
    • 自然法則に反するもの:永久機関など
    • 自然法則自体:万有引力の法則など
  • 「技術的思想」ではないもの:絵画・彫刻、フォークボールの投球方法など
  • 「創作」ではないもの:エックス線の発見など
  • 「高度」でないもの:日用品の考案など

なお、高度でない日用品の発明については、実用新案権として保護を受けることを検討します。

産業上の利用が可能であること

2つ目の用件は、産業上の利用可能性があることです。次のものなどはこの要件を満たさないため、特許を受けることができません。

  • 人間を手術、治療、診断する方法
  • 学術的・実験的のみに利用されるもの
  • 実際上明らかに実施できないもの

先願であること

3つ目は、先願であることです。

同様のアイデアについて複数の者が出願した場合、出願の順が早かった方に軍配が上がります。「アイデアを思い付いた順」などではなく、あくまでも出願の前後で判断されることにご注意ください。

新規性があること

4つ目は、新規性があることです。新規性とは、その発明が出願時において、まだ世にない新しいものであることです。

次の発明はこの新規性要件を満たさず、特許を受けることができません(同29条1項)。

  • 特許出願前に、日本国内または外国において公然知られた発明
  • 特許出願前に、日本国内または外国において公然実施をされた発明
  • 特許出願前に、日本国内または外国において、頒布された刊行物に記載された発明または電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明

つまり、出願前に論文を公開したりインターネット上で公開したり、その発明を組み込んだ製品を一般発売したりした場合などには新規性要件を満たさなくなり、原則として特許を受けられないということです。

進歩性があること

5つ目は、進歩性があることです。

出願時に公知となっている技術に基づいて、その技術分野に知見を有する者が容易に発明できるような発明は、進歩性がないとされ特許を受けることができません(同29条2項)。

公序良俗に反しないこと

6つ目は、公序良俗に反しないことです。

他の要件をすべて満たしていても、公の秩序や善良の風俗、公衆の衛生を害するおそれがある発明については特許を受けることができません(同32条)。

アイデアについて特許を取るためにかかる主な費用

アイデアについて特許を出願するには、権利化できた後に納めるべき特許料(特許年金)を含め、トータルで100万円前後の費用がかかることを想定しておくとよいでしょう。

ただし、実際にかかる費用は具体的な出願内容や弁理士に希望するサポート内容などによっても異なるため、あらかじめ個別に見積もりをとることをおすすめします。また、特許庁に納める手数料については軽減制度が設けられており、一定の要件を満たした場合は費用が軽減されます。

ここでは、軽減措置の適用を考慮せず、一般的な費用について解説します。

  • 弁理士報酬
  • 出願手数料・電子化手数料
  • 審査請求料
  • 特許料(特許年金)

弁理士報酬

アイデアについて的確な特許を出願するには専門的な知識が必要であり、弁理士のサポートを受けるのが一般的です。特許出願を弁理士に依頼した場合における費用の目安は、25万円から35万円程度です。

ただし、弁理士報酬は自由化されているため、事務所によって報酬額や報酬体系が異なります。また、出願において作成すべき明細書の枚数が多い場合や請求項の数が多い場合などには、報酬額が高くなる傾向にあります。

また、ブラッシュアップ段階からのサポートを希望する場合は出願前の調査段階から依頼する場合などには、費用が加算されることが一般的です。

このように、「一般論」で報酬額を確定することは困難であるため、自身が希望するサポート内容に合わせて事前に見積もりを依頼するとよいでしょう。

出願手数料・電子化手数料

特許出願にあたっては、特許庁に「出願手数料」を納めなければなりません。出願手数料の額は、1出願あたり14,000円です。

また、特許出願はオンラインまたは書面で行うことができるものの、書面で出願をする場合には追加で「電子化手数料」がかかります。電子化手数料の額は、次の式で計算されます。

  • 電子化手数料の額=2,400円+(800円×書面のページ数)

審査請求料

特許審査は二段階となっており、出願をするとまずは形式面を確認する方式審査がなされます。方式審査をクリアするとその後は実体審査へ進むものの、実体審査への意向は自動的になされるのではなく、改めて出願審査請求をしなければなりません。

出願審査請求をするにあたっては、別途「審査請求料」の納付が必要です。審査請求料は、次の式で計算されます。

  • 審査手数料の額=138,000円+4,000円×請求項の数

特許料(特許年金)

特許査定がなされたら、特許権を発生させるために「特許料(特許年金)」を納める必要が生じます。特許年金は、特許権を維持する限り毎年発生します。特許年金の額は、それぞれ次のとおりです。

項目 金額(1年分)
第1年から第3年まで 4,300円+(請求項の数×300円)
第4年から第6年まで 10,300円+(請求項の数×800円)
第7年から第9年まで 24,800円+(請求項の数×1,900円)
第10年から第25年まで 59,400円+(請求項の数×4,600円)

なお、1年目から3年目分の特許年金は、設定登録を受ける際にまとめて納めることとされています。

費用が原因でアイデアの特許出願を諦める前に知っておくべきこと

アイデアについて特許を取得するには多くの費用がかかるため、出願を諦めようと考える場合もあるかもしれません。しかし、費用が原因でアイデアに関する特許出願を安易に諦めてしまうと、後悔するおそれがあります。

ここでは、後になってから後悔しないよう、費用が原因でアイデアを諦めてしまう前に知っておくべき事項をまとめて紹介します。

  • 後からの特許取得は困難である
  • 自社で製品化が困難でもライセンスにより収益化できる可能性がある
  • 出願するか否か迷っている段階でも弁理士へ相談できる

後からの特許取得は困難である

先ほど要件としても解説したように、特許の出願は「早い者勝ち」です。費用を理由にアイデアの特許出願を渋っている間に先に他社に特許出願をされてしまえば、自社は特許を取得することができなくなります。

それどころか、そのアイデアを実施するにあたって権利者となった他社に許諾を得て、ライセンス料を支払わなければなりません。無断で実施すると、侵害行為であるとして差止請求や損害賠償請求をなされる可能性が生じます。

また、他社に先を越されなかったとしても、自社がそのアイデアを一般公開したりアイデアを実施した製品を一般販売したりしてしまってからでは、特許を受けることはできません。

出願前にこのような行為をすれば、新規性要件を満たさなくなるためです。

このように、特許出願にはタイミングも重要であるため、費用を理由に出願を先延ばしにすることは避けるべきでしょう。

自社で製品化が困難でもライセンスにより収益化できる可能性がある

費用が原因でアイデアについての特許出願を見送ろうと考える場合、自社でアイデアを実施するハードルが高いことが原因である場合もあるでしょう。しかし、アイデアは自社で実施するだけがすべてではありません。

出願をして権利化したうえで、これを他社にライセンスをして収益を得ることも1つの方法です。この点も踏まえて、出願するか否かを検討することをおすすめします。

出願するか否か迷っている段階でも弁理士へ相談できる

アイデアについて特許出願をするか否か迷っている段階であっても、弁理士に相談することは可能です。

弁理士は、特許などの知財を専門とする国家資格です。弁理士は当然ながら特許出願の代理もできる一方で、出願手続きだけを行うのではありません。出願をする前段階から市場の見通しなどを踏まえて出願すべきか否かを相談したり、アイデアのブラッシュアップ段階からサポートを受けたりすることも可能です。

中辻特許事務所は特許出願について豊富な実績を有しており、難解な数学的案件や最新技術などにも対応しています。アイデアについて特許出願をすべきか否か迷っている際には、中辻特許事務所までお気軽にご相談ください。

アイデアの特許出願に迷っている際に弁理士へ相談するお主なメリット

アイデアの特許出願に迷っている段階から弁理士へ相談するメリットは、小さくありません。弁理士へ相談・依頼する主なメリットを4つ解説します。

  • 権利化の可能性を把握できる
  • アイデアのブラッシュアップが可能となる
  • 出願するか否かの方向性を定めやすくなる
  • 的確な特許権を取得しやすくなる

権利化の可能性を把握できる

アイデアについて「出願すべきか否か」を迷っていても、そもそもそのアイデアが特許の要件を満たさず権利化できる可能性が低いのであれば、迷うまでもないでしょう。弁理士へ相談することで、そのアイデアについての権利化の見込みが把握できます。

アイデアのブラッシュアップが可能となる

弁理士によってはすでに内容の固まった発明を書面に落とし込むだけではなく、アイデアのブラッシュアップ段階からのサポートが可能です。弁理士へ相談することで、そのアイデアをより発展させることが可能となります。

ただし、アイデアのブラッシュアップの支援が可能であるか否かは弁理士の技術面への理解の深さなどによって異なり、すべての弁理士が対応できるわけではありません。アイデアのブラッシュアップ段階からのサポートをご希望の際は、中辻特許事務所までご相談ください。

出願するか否かの方向性を定めやすくなる

特許を専門的に扱っている弁理士は、技術のトレンドを把握しています。そのため、弁理士へ相談することで、そのアイデアに関する需要の想定が可能となり、出願するか否かの方向性を定めやすくなります。

的確な特許権を取得しやすくなる

アイデアの特許出願は、誰が行っても同じ結果になるわけではありません。特許請求の範囲が広すぎれば、他社の権利と抵触し、権利化できない可能性が高くなります。

一方で、拒絶査定を恐れるあまり特許請求の範囲を狭め過ぎれば、使い勝手が悪く価値の低い特許になってしまいかねません。このように、あるアイデアについて特許を出願するにあたっては、「権利化が実現でき、かつ権利の価値を最大化するための適切な範囲」を設定する工夫が必要です。

弁理士のサポートを受けることで的確な範囲設定が可能となり、最適な権利化を実現しやすくなります。

アイデアの特許出願でお悩みの際は中辻特許事務所へご相談ください

アイデアの特許出願でお悩みの際は、中辻特許事務所までご相談ください。最後に、当事務所の主な特長をまとめて紹介します。

  • 難解な数学的案件や最新技術にも対応可能である
  • 戦略的思考に強い
  • アイデアのブラッシュアップ段階からのサポートが可能である
  • ご依頼者様からの満足度が高い

難解な数学的案件や最新技術にも対応可能である

中辻特許事務所は特許出願に豊富な実績を有しています。難解な数学的案件や生成AI、Web3.0などの最新技術にも対応しているため、複雑な案件であっても安心してお任せいただけます。

戦略的思考に強い

中辻特許事務所の代表である中辻は防衛大学校理工学研究科を修了し、陸自幹部技術高級課程や陸自装備開発を経て弁理士となった異色の経歴の持ち主です。これらの経験を活かした戦略的思考を強みとしており、戦略をもってビジネスで勝つための特許出願をサポートしています。

アイデアのブラッシュアップ段階からのサポートが可能である

中辻特許事務所は、アイデアのブラッシュアップ段階からのサポートが可能です。発明者とクライアントである企業様の本来の意図を探り、将来の動向を予測しつつ、本来あるべき形を模索したうえでの権利取得を目指します。

ご依頼者様からの満足度が高い

中辻特許事務所はご依頼者様からの高い満足度を誇っており、Googleマップの口コミでも有り難い評価をいただいています。これは、技術理解力や思考力、論理力を駆使して、クライアント様の知的財産獲得をサポートしている結果であると自負しています。

まとめ

アイデアに段階での特許出願の可否や特許を受ける要件、アイデアについて特許を取得する費用などについて解説しました。

特許を受ける要件を満たす限り、アイデア段階であっても特許を取得することは可能です。むしろ、新規性要件を喪失せず、かつ他社に出願の先を越されないためには、アイデア段階から積極的に出願するとよいでしょう。

アイデアについて特許を受けるためにかかる費用の目安は、特許年金を含め、総額で100万円前後です。ただし、費用は依頼先の特許事務所や出願内容、希望するサポート内容などによって変動するため、あらかじめ見積もりをとることをおすすめします。

中辻特許事務所は特許出願について豊富な実績を有しており、技術への高い理解力や思考力、論理力を駆使し的確な権利獲得を支援します。また、アイデアのブラッシュアップ段階からのサポートも可能です。

アイデアについて特許取得をご希望の際や、アイデアについて特許出願をするか否か迷っている際などには、中辻特許事務所までお気軽にご相談ください。