Published On: 2024年12月26日Categories: 商標権の取得By
商標登録代行先のおすすめの選び方は?比較ポイントと費用の目安

商標は、自社で使用を始めたことだけを持って保護を受けられるものではありません。似た商標や同一の商標が他社に無断で使用された際、これに対して法的措置をとるためには、原則として商標登録を受ける必要があります。

では、商標登録はどのような目的で行うものなのでしょうか?また、商標登録の代行は、誰に依頼すればよいのでしょうか?

今回は、商標登録の概要や自力で商標登録を進めた場合に生じ得る主なデメリット、商標登録の代行先の選び方などについて、弁理士がくわしく解説します。

商標登録の基本

そもそも、商標登録とはどのようなものなのでしょうか?はじめに、商標登録の概要を解説します。

「商標」とは

商標とは、「標章」のうち、商品やサービスに使用されるものです。標章とは、人の知覚によって認識できるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状、色彩、またはこれらの結合、音などを指します(商標法2条1項)。

代表的な商標としては、ブランド名や企業のロゴマークなどが挙げられます。ただし、不二家のペコちゃん人形のような立体的形状や久光製薬のコマーシャルで流れるサウンドロゴ、ファミリーマートの看板の配色なども商標であり、商標の幅は非常に広いといえます。

平たくいえば、消費者が目で見た(または、耳で聞いた)ときにある企業や商品、サービスを想起させるもの全般が商標になり得るということです。

商標登録とは

冒頭でも触れたように、商標は、使用を開始したことだけをもって保護の対象になるわけではありません。ある商標について「商標権」を発生させるためには、特許庁に出願して登録を受ける必要があります。

特許庁に出願をしてその商標について登録査定を受け、登録料を支払って登録を受けることを「商標登録」といいます。また、登録を受けた商標を「登録商標」といい、これは特許庁が運営するウェブサイト「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」で公表されます。

なお、商標は45に区分された商品・サービスの分類の中から、保護を受けたい区分並びに指定商品・サービスを選んで出願する制度です。たとえば、ある商標について第3類(洗浄剤、化粧品)だけを選択して出願した場合、類似の商標が第25類(服、履物)で使用されても、法的措置をとることはできません。

一方で、多くの区分を選択すればするほど、出願費用や権利の維持費用などが高くなります。そのため、保護を受けたい(つまり、類似の商標を使われたくない)区分並びに指定商品・サービスを過不足なく選択して出願するのがポイントです。

商標権を取得する主な目的

商標権を取得するメリットは、どのような点にあるのでしょうか?ここでは、商標権を取得する主な目的を4つ紹介します。

  • 商標を独占的に使用するため
  • 侵害時の対応をしやすくするため
  • ライセンスができるため
  • 事業に使用したい商標を他者に先に権利化されないため

商標を独占的に使用するため

1つ目は、商標を独占的に使用できるようになることです。

登録商標は権利者による独占的使用が認められ、他者がこれを無断で使用することはできません。そのため、他社の製品・サービスとの差別化を図りやすくなり、効果的なブランディングが可能となります。

侵害時の対応をしやすくするため

2つ目は、侵害時の対応がしやすくなることです。

商標登録を受けていなくても、商標の冒用は不正競争防止法違反に問える可能性があります。しかし、不正競争防止法違反の対象となるのは、冒用された商標が「周知」や「著名」である場合に限定されます。加えて、不正競争防止法違反となるのは不正の意図をもって行われた場合に限られており、偶然の一致(または類似)である場合には対象とはなりません。

一方で、商標権を侵害されている場合には、その事実のみをもって差止請求や損害賠償請求などの法的措置の対象となります。差止請求や損害賠償請求をするために、相手方の不正の意図などを立証する必要は必要ありません。侵害の事実のみをもって、相手方の過失の存在が推定されるためです(同30条、特許法103条)。また、その商標が周知・著名であることなども不要です。

このように、商標権を取得した場合には、権利侵害時の法的措置のハードルが格段に低くなります。

ライセンスができるため

3つ目は、ライセンスができることです。

商標権を取得したならば、使用許諾を受けたい者からライセンス料を取得することができます。商標権の無断使用が横行すれば自社に悪影響が出るため、状況によってはライセンスを行うことも意味があります。

つまり、登録商標の無断使用を発見した場合には法的措置をとることができるため、他者がその商標を適法に使用するためには、権利者から正式にライセンスを受けなければなりません。

このような理由からライセンシーとしても安心して契約しやすくなり、権利者としてはライセンス料を得られる機会が増大します。

事業に使用したい商標を他者に先に権利化されないため

4つ目は、事業に使用したい商標を、他社に先に権利化される事態を避けることです。

商標登録は「早い者勝ち」の制度であり、同一または類似の商標であれば、先に出願した者が権利を獲得できるのが原則です。そのため、自社が出願しないうちに他社に出願されてしまえば、自社はその商標について権利を得ることができません。それどころか、商標権を獲得した者から使用の差し止めや損害賠償請求などがなされるリスクさえ生じます。

そのため、「守り」の意味でも、大切な商標は登録を受けておくべきでしょう。

商標登録代行とは

商標登録代行とは、商標出願を専門家(弁理士)に代わりに行ってもらうことです。また、通常は単に手続きを代行するだけではなく、出願する商標の選定や区分並びに指定商品・サービスの選定など、準備段階からのアドバイスが受けられます。

商標出願は、様式だけを見ると簡単であるように思えるかもしれません。しかし、本当に難しいのは最終的な「書類の作成」ではなく、準備段階であることを理解しておくべきでしょう。

商標登録の代行を依頼せず自力で行う際の主なリスク・デメリット

商標出願を自力で行うことは可能です。しかし、弁理士に依頼せず自力で商標登録を進める場合には、リスクやデメリットがあります。ここでは、商標登録を自社だけで進める主なリスクとデメリットを5つ紹介します。

  • 事前調査や制度の確認、出願などに手間と時間を要する
  • 無駄な出願をしてしまう
  • 区分並びに指定商品・サービスの指定に漏れがあり商標を保護できない事態となる
  • 権利化ができなくなる
  • 登録までの期間が長くなる

事前調査や制度の確認、出願などに手間と時間を要する

専門家に商標登録の代行を依頼せず自力で進める場合、予想以上に時間を要するおそれがあります。

商標登録をするためには出願書類を正確に作成すべきことに加え、類似の商標がすでに登録されていないかどうかを確認したり、出願の進め方を調べたりするステップが重要です。これに多大な時間や労力を割けば、本業に割くべきリソースを圧迫しかねないでしょう。

このため、最新のAI技術を駆使するとともに、豊富な経験を有する弁理士のアドバイスを得ることは貴重になります。

無駄な出願をしてしまう

商標は、出願したからといって必ずしも登録が受けられるものではありません。同一の区分において、すでに同一または類似の商標が登録されている場合には、拒絶査定がなされます。

また、商標登録を受けるにはさまざまな要件を満たすことが必要です。たとえば「山田商店」のようにありふれた名称のみを表示する商標や、ローマ字2文字のような極めて簡単な商標などは、原則として登録を受けることができません。

弁理士に依頼せず自力で出願を進めた場合、登録を受けられる見込みが低いのにも関わらず出願をしてしまい、時間や労力を無駄にするおそれが生じます。

区分並びに指定商品・サービスの指定に漏れがあり商標を保護できない事態となる

商標登録で特に判断が難しいポイントの一つが、区分の指定です。

先ほど解説したように、商標はすべての分野にまたがるものではなく、保護を受けたい商品・サービスの区分を選択して出願するものです。この区分並びに指定商品・サービスに漏れがあればライバル企業などにその穴を突かれ、商標を適切に保護できない状況も考えられます。

では、すべての区分を選択すればよいかというと、多くの企業にとってこれも現実的ではありません。なぜなら、選択する区分が多いほど、出願や登録の費用が高くなるためです。たとえば、商標登録料は次の式で算定されます。

  • 商標登録料=区分数×32,900円

1つの区分であれば登録料は32,900円である一方で、45区分で登録を受ける場合には1,480,500円(=32,900円×45区分)もの費用が掛かります。

ほかに、区分数に応じた出願料や更新料なども支払わなければなりません。また、これはあくまでも1種類の商標あたりの費用であり、登録を受けたい商標が複数ある場合には、その分だけ費用が必要です。

費用を抑えつつ適切な保護をはかるためには登録を受ける区分を慎重に選定しなければならず、これを自社だけで行うことは容易ではないでしょう。

権利化ができなくなる

商標登録を自力で行った場合、権利化ができないおそれが生じます。

商標出願をすると、これに対して拒絶理由通知が届くことがあります。ただし、これは最終的な拒絶査定ではなく、あくまでも「このままでは拒絶査定になりますよ」という通知です。そのため、拒絶理由通知が届いても適切な補正をしたり意見書を出したりすることで、登録を受けられる可能性があります。

しかし、このような対応を自社のみで的確に行うことは、容易ではありません。適切な対応ができなかった結果、弁理士に依頼していれば権利化できたはずの商標について、権利化を逃してしまうかもしれません。

登録までの期間が長くなる

商標出願には「早期審査」など、審査期間を早める制度が設けられています。権利化を急ぐ事情がある場合、弁理士へ依頼した場合には、要件を満たす限りこのような制度を活用して早期の権利化を図ることとなります。

しかし、このような制度の活用には知識が必要であり、自力で行うことは困難でしょう。そのため、使えたはずの制度の活用を逃してしまう可能性があります。

また、自力で商標出願をした場合には、出願内容に漏れがあり補正が必要となることも少なくありません。補正への対応が必要となることによっても、弁理士へ依頼した場合と比較して登録までの期間が長くなる可能性があります。

商標登録代行は誰に依頼する?

商標登録の代行は、弁理士にご依頼頂くのが効率的です。

商標登録の代理ができるのは、弁理士と弁護士に限られます。ただし、弁護士が積極的に商標登録を行っているケースは多くないでしょう。そのため、弁理士への依頼が有力な選択肢となります。

弁理士は、商標権など知的財産にまつわる国家資格者です。商標登録のほか、特許権や実用新案権、意匠権などについても弁理士へ相談できます。

商標登録の代行費用相場はいくらくらい?

弁理士に商標登録の代行を依頼した場合、どのくらいの費用が掛かるのでしょうか?ここでは、弁理士報酬や費用の考え方を解説します。

弁理士費用は事務所によって異なる

弁理士報酬は自由化されており、一律に決まっているわけではありません。そのため、具体的な報酬額を知るためには、依頼を検討している弁理士事務所へ個別に確認する必要があります。

なお、ホームページに料金が掲載されていることもあるものの、出願する区分などによって費用が変動するケースも多いため、出願内容が決まらなければ費用も決まらない可能性があります。

そこで、まずは初回相談に出向き、依頼した場合における具体的な費用についても確認するとよいでしょう。

「弁理士の費用(報酬)アンケート」が参考となる

弁理士費用が事務所によって異なるとはいえ、大まかな金額さえ分からなければ不安に感じてしまうことでしょう。そこで参考となるのが、弁理士会が公表しているアンケート結果です。ここでは、報酬などに関するアンケート結果が公表されています。

「平成15年特許事務報酬(弁理士手数料)に関するアンケート結果」によれば、商標登録の依頼時に支払う「手数料」の金額の上位は次のとおりです。

  • 5~8万円:472人(73.5%)
  • 8~11万円:97人(15.1%)

また、無事に商標登録が受けられた際に追加で支払う「謝金(成功報酬)」の額の上位は、次のとおりです。

  • 4~6万円:409人(71.0%)
  • 2~4万円:133人(23.1%)

これらはいずれも、1区分指定の場合を前提とした金額です。また、あくまでもアンケート結果であり、個別の事務所の報酬額を保証するものではないため、参考程度にご確認ください。

具体的な費用を知りたい際は、先ほど解説したように、依頼を検討している事務所へ直接問い合わせるのが確実です。なお、ここで紹介したのはあくまでも弁理士の報酬額であり、特許庁に納める手数料などは別途発生する点にも注意が必要です。

商標登録の代行先を選ぶ際の主な比較ポイント

商標登録の代行を依頼する弁理士は、どのような視点で選べばよいのでしょうか?最後に、弁理士を選ぶポイントを解説します。

  • 専門性
  • 相談のしやすさ
  • 料金
  • 業務範囲
  • 海外出願への対応の可否

専門性

1つ目は、専門性です。

弁理士によって、特許が専門であったり商標が専門であったりするなど、得意分野が異なる場合があります。商標登録の代行を依頼したいのであれば、商標登録に強い事務所を選定するとよいでしょう。

相談のしやすさ

2つ目は、相談のしやすさです。

弁理士にはじめて相談する場合、敷居が高いと感じる人もいるようです。しかし、ビジネスと知的財産とを切り離すことは不可能であり、ビジネスを展開していくうえでは知財にまつわる困りごとが絶えず発生するでしょう。また、他者の権利を侵害しないよう、常に配慮しなければなりません。

そのため、弁理士は本来「町医者」のように、困った際に気軽に相談できる存在であるべきです。特に、長期的なお付き合いを検討している場合には、相談のしやすさを重視するとよいでしょう。

料金

3つ目は、料金です。

弁理士は国家資格であるため法外な金額を提示することは考えにくいとはいえ、金額は事務所によって異なります。そのため、料金も一つの基準となるでしょう。

ただし、報酬の安さだけで弁理士を選ぶことはおすすめできません。なぜなら、弁理士は高度な専門職であり、単に「言われたとおりに書類の様式を整える」だけではないためです。

的確な権利が獲得できるか否かが、弁理士の手腕で左右されることも少なくありません。そのため、料金はあくまでも「一般的な金額から大きく外れていない」程度の確認に留め、安さを追求することは避けた方がよいでしょう。

業務範囲

4つ目は、業務範囲です。

単に商標出願だけしてほしいのか、それとも自社の知財戦略を含めてアドバイスを受けたいのかを検討したうえで、自社が望むサポートに対応できる弁理士を探すことをおすすめします。

特に、知財戦略の立案には戦略的思考が不可欠であり、すべての弁理士が得意とするわけではありません。また、経営戦略に正解がないように知財戦略にも一つの正解があるわけではなく、依頼する弁理士によって戦略内容は大きく異なることとなります。

海外出願への対応の可否

5つ目は、海外出願への対応の可否です。

グローバル化が進行している昨今、海外で事業を展開する企業も増えています。一方で、日本における商標登録によって保護を受けられるのは日本国内においてのみであり、全世界で保護が受けられるわけではありません。

海外で商標の保護を受けたいのであれば、その国の制度に従って、別途登録を受ける必要があります。たとえば、中国で保護を受けたいのであれば中国の制度に従って、アメリカで保護を受けたいのであればアメリカの制度に従って出願すべきということです。

しかし、すべての弁理士が海外での知財保護に強いわけではありません。そのため、海外展開を予定している場合には、海外への出願についてもサポートが可能な弁理士に相談することをおすすめします。

まとめ

商標登録の概要や商標登録を受けるメリットを解説するとともに、商標登録について弁理士の代行を受けなかった場合に生じ得るデメリットや弁理士を選ぶポイントなどを紹介しました。

商標権とは、商標を独占的に使用できる権利です。商標権を取得するためには、特許庁へ出願して登録を受けなければなりません。

的確な商標登録を受けるためには、弁理士に代行を依頼するのがおすすめです。弁理士のサポートを受けることで権利化したい商標や出願する区分の選定段階からアドバイスを受けられるほか、事前に調査をすることで無駄な出願を避けることも可能となります。

中辻特許事務所では商標登録の代行に力を入れており、クライアント様のビジネスの強みとなる権利獲得をサポートしています。また、代表の中辻は陸自幹部技術高級課程を経た異例の経歴の持ち主であり、この経験で養った戦略的思考を強みとしています。

商標登録の代行を依頼できる弁理士をお探しの際や、自社の知財戦略の構築段階から伴走する弁理士をお探しの際などには、中辻特許事務所までお気軽にお問い合わせください。最新の生成AIを活用して商標調査を行うとともに、商標に精通した弁理士の経験値を活用してサポートさせて頂きます。