Published On: 2025年2月26日Categories: 商標権の取得By
商標の類似とは?どこまでが類似?審査基準を弁理士がわかりやすく解説

他社がすでにある商標を出願している場合、この商標と同一の商標や類似する商標は、同じ商品・サービスの区分において登録を受けることができません。また、他社の登録商標と同一または類似の商標を自社が無断で使用すると、差止請求や損害賠償請求など法的措置の対象となるおそれがあります。

では、自社が使用を検討している商標と似た登録商標が存在する場合、どのような関係であれば類似と判断され、どのような関係であれば非類似と判断されるのでしょうか?また、商標が類似であるか否かは、主にどのような視点から判断されるのでしょうか?

今回は、商標が類似であるか否かの判断基準や判断の視点、類似する商標の存在に注意すべきケース、商標の類似について弁理士へ相談するメリットなどについてくわしく解説します。

商標の基本

はじめに、商標の基本について解説します。

商標とは

商標とは、商品やサービスについて使用される「標章」です。標章とは、「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」を指します(商標法2条1項)。

代表的な商標には、ブランド名や商品名、ロゴマークなどが挙げられます。しかし、商標の種類は多様であり、次のものなどが存在します。

商標の種類 概要
文字商標 文字のみからなる商標
図形商標 写実的なものから図案化したものや、幾何学的模様等の図形のみから構成される商標
記号商標 暖簾記号や文字を図案化し組み合わせた記号、記号的な紋章など
立体商標 立体的形状からなる商標(不二家のペコちゃん人形など)
結合商標 異なる意味合いを持つ文字と文字を組み合わせた商標・文字、図形、記号、立体的形状を2つ以上組み合わせた商標
動き商標 文字や図形などが時間の経過に伴って変化する商標
ホログラム商標 文字や図形などが、ホログラフィーなどの方法によって変化する商標
色彩のみからなる商標 単色または複数の色彩の組合せのみからなる商標であり、輪郭なく使用できるもの(ファミリーマートも店舗看板の配色など)
音商標 音楽や音声、自然音などからなる商標で、聴覚で認識されるもの(久光製薬のサウンドロゴなど)
位置商標 図形などを商品などに付す位置が特定される商標

このように、商標の種類は多岐にわたります。

商標登録とは

商標登録とは、商標について特許庁に出願して登録を受けることです。特許庁の登録を受けた商標を「登録商標」といい、登録商標には商標権が発生します。

商標登録を受けた場合、その登録商標を独占排他的に使用することが可能となり、侵害された場合には差止請求や損害賠償請求などの法的措置をとることが可能となります。また、他社に商標出願の先を越され、希望する商標を自社が使用できなくなる事態も回避できるでしょう。

ただし、商標登録を受ければすべての商品・サービスで保護を受けられるのではありません。

商標出願に際しては、商品又は役務(サービス)を指定する必要があります。このように指定された商品(指定商品)と、あらかじめ設定された45の区分の中から指定商品が含まれる区分を選択して商標出願を行います。なお、区分が同じであったとしても、商品が類似するとは限りません。商品の類似は、あくまでも指定商品ごとに行われます。

そして、指定商品を含む区分に漏れがあると、当然ながらその区分での商標権は取得できないことになるため、保護を受けたい区分に漏れがないよう出願することが商標出願の一つのポイントになります。

その反面、やみくもにすべての区分を選択することは現実的ではありません。もちろん、すべての商品・サービスの区分を選択して商標出願をすることも可能ですが、出願時の手数料や登録を受ける際の手数料は選択した区分数に連動するため、選択した区分が多ければそれだけ高額な費用がかかります。

そのため、保護を受けたい商品・サービスの区分に過不足がないようあらかじめ慎重に検討したうえで出願する必要があります。お困りの際は、弁理士へご相談ください。

商標の類似に注意すべき主なケース

商標の類似に注意する必要があるのは、どのような場面なのでしょうか?ここでは、商標の類似に注意すべき主な場面を2つ紹介します。

  • 商標出願をする場合
  • 新たな商標を使い始める場合

商標出願をする場合

1つ目は、自社が商標出願をしようとする場合です。

商標登録は、「先願主義」が採られています。そのため、同一または類似の商品・役務においてすでに同一または類似の商標が登録されている場合には、自社が出願しても登録を受けることはできません。無駄な出願を避けるため、出願前には類似商標の登録の有無を確認することとなります。

なお、たとえ他社の登録商標と類似していても、商品・役務が類似していなければ登録を受けられる可能性があります。お困りの際は、商標登録にくわしい弁理士へご相談ください。

新たな商標を使い始める場合

2つ目は、自社で使用する新たな商標を検討する場合です。

商品やサービスについて新たな商標を使用したい場合には、同一または類似の商標がすでに他社によって登録されているか否かを調査する必要があります。なぜなら、たとえ故意(他社の商標の存在を知って、わざと真似た)でなかったとしても、他社の商標権を侵害した場合には次の請求がなされる可能性があるためです。

  • 差止請求:侵害行為の停止や予防措置を求めること
  • 損害賠償請求:侵害によって被った損失を金銭で支払うよう求めること
  • 信用回復措置請求:侵害行為によって権利者の業務上の信用が失墜した場合、信用を回復するための謝罪広告掲載などを求めること

また、権利者から侵害警告がなされてもなお侵害行為を続けた場合には、刑事罰の対象となる可能性も生じます。このような事態を避けるため、新たに商標の使用を始める場合には、他社の登録商標を調査すべきです。

商標が類似か否かの主な視点・審査基準

商標が「同一」であるとは、標章(文字、マーク等)が同一であり、商品・サービスが同一であることを指します。この判断は比較的容易です。一方、ある商標と別の商標が「類似する」か否かの判断は、容易ではありません。

特許庁が公表している「審査基準」によると、「商標の類否は、出願商標及び引用商標がその外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察し、出願商標を指定商品又は指定役務に使用した場合に引用商標と出所混同のおそれがあるか否かにより判断する」とされています。

ここでは、「外観」、「呼称」、「観念」について、それぞれ概要を解説します。

外観

外観とは、商標の「見た目」のことであり、需要者に視覚を通じて認識される外形を指します。外観の全体的な印象が似ている場合には、両者が類似と判断されやすくなります。

呼称

呼称とは、商標の「呼び方」のことであり、需要者に取引上自然に認識される音を指します。

なお、「紅梅」に「ベニウメ」との仮名を振った文字商標であっても、この漢字は「コウバイ」とも読まれることから、類似の有無を判断するにあたっては「コウバイ」も判断の対象となります。一方で、「竜田川」は「タツタガワ」と読むのが自然であり「リュウデンセン」などの不自然な呼称は生じないと考えられます。

観念

観念とは「意味合い」のことであり、需要者に取引上自然に想起される意味を指します。なお、商標が色彩を有する場合には、その色彩から想起される観念も類似か否かを判断する対象となります。

なお、商品・サービスが類似するか否かについては、類似群コードを基準に判断されます。類似群コードが同じであれば、商品・サービスが類似すると判断されます。

商標の類似はどこまでならセーフ?

「新しい商標の利用開始にあたって調べたら、似ているような気がする商標が他社によって登録されていた」場合、どこまでの類似ならアウトでありどこまでの類似ならセーフであるのか、判断に迷うことでしょう。

しかし、先ほど解説したように類似か否かを判断する「視点」はある一方で、残念ながら明確な「線引き」は存在しません。つまり、「一文字違うだけならダメ」や「色が違えばセーフ」などのように、機械的に判断できるわけではないということです。

過去の裁判例などは参考になるとはいえ結局のところ個別判断であり、ある事例において1文字違いの商標が類似であると判断されたからといって、別のケースにおいても1文字違いの商標が類似と判断されるとは限りません。

また、商標権の侵害となるか否かに、「パロディ」であるか否かは関係がないことにもご注意ください。「パロディなら侵害にあたらない」などの例外規定は存在しないことに加え、そもそもパロディであるか模倣であるかは模倣する側の主観でしかなく、客観的な判断のしようもないためです。

このように、商標が類似か否かを判断することは容易ではありません。そのため、少しでも不安があるのであれば、あらかじめ弁理士へ相談することをおすすめします。弁理士は過去の裁判例や裁判にまでは至らなかった事例などを数多く熟知していることから、侵害のリスクの有無についてより精度の高い判断が可能です。

商標が類似か否か迷った際に弁理士に相談する主なメリット

商標が類似であるか迷った際に、弁理士に相談することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを3つ解説します。

  • 自社で調査をする時間と手間が削減できる
  • 経験を踏まえた的確なアドバイスが受けられる
  • 商標の出願手続きも代理してもらえる

自社で調査をする時間と手間が削減できる

1つ目は、自社で調査をする時間と手間が削減できることです。

そもそも、類似商標の有無を自社だけで的確に調査することは容易ではありません。文字だけからなる商標であればある程度調査しやすい一方で、ロゴマークなどの図形を含む商標を的確に調査するには知識や経験を要するでしょう。また、商標調査には相当な手間と時間も要します。

弁理士へ相談し依頼する場合には、商標調査を任せることが可能となり、自社で要する手間や時間を大きく削減できるほか、的確な商標調査を実現できます。

経験を踏まえた的確なアドバイスが受けられる

2つ目は、経験を踏まえた的確なアドバイスが受けられることです。

先ほど解説したように、商標が類似であるか否かの判断は経験によるところも大きく、自社だけで判断することは容易ではありません。また、類似か否かの判断を誤り、無理に使用を進めてしまうと、法的措置の対象となるおそれもあります。

一方で、保守的に判断しすぎれば、自社が使いたい商標がことごとく使えない事態となりかねません。

弁理士へ相談することで、裁判例や専門家としての経験を踏まえた的確なアドバイスを受けることが可能となります。また、そのままでは侵害のリスクが高いと判断した場合には他の商標の出願や区分を変更しての出願などを検討することとなりますが、これについても弁理士へ相談できます。

商標の出願手続きの代理も可能

3つ目は、商標の出願手続きについて代理が可能であることです。

弁理士は知的財産を専門とする国家資格者であり、商標出願の代理が可能です。弁理士に商標出願の代理をしてもらうことで的確な出願が可能となり、短期の権利取得を目指しやすくなります。

また、戦略的思考を有する弁理士に依頼した場合には、自社の今後の展開を見据えた知的財産獲得のアドバイスも受けられるでしょう。

なお、商標出願の代理ができるのは弁理士と弁護士に限られており、これらの資格を有しない者が有償で商標出願の代理をする行為は違法です。

商標登録や類似か否かの相談は中辻特許事務所へお任せください

自社が使用したい商標が他社の商標と類似するか否か(侵害に当たるか否か)判断に迷った際は、中辻特許事務所へご相談ください。最後に、中辻特許事務所の主な特長を3つ紹介します。

  • 経験豊富な弁理士のノウハウ+最新のAI商標調査により商標の類否判断を行う
  • 戦略的思考をもとに企業の知財戦略をサポートする
  • 海外への出願サポートも可能である

経験豊富な弁理士のノウハウ+最新のAI商標調査により商標の類否判断を行う

中辻特許事務所は、弁理士試験の試験委員も務められた経験豊富な福田弁理士をはじめとして、商標実務の能力に秀でた複数の弁理士によりサポートを行います。

一方、最新の生成AI技術を駆使したTM-ROBO(【公式】TM-RoBo、フルオプション)を複数アカウント導入して商標の検索、類否判断を併用しています。

そのため、自社の商標が他社の登録商標と類似か否か判断に迷うケースであっても、裁判例や経験を踏まえた的確な判断と助言が可能です。

戦略的思考をもとに企業の知財戦略をサポートする

中辻特許事務所の代表である中辻は、防衛大学校理工学研究科を修了し陸自幹部技術高級課程を経た異色の経歴を有しています。この経歴を生かし、ビジネスで勝つための知財戦略の策定を得意としています。

そのため、商標にまつわる単発のご相談のほか、ビジネスを有利に進めるための知財戦略の策定をご希望の際も当事務所がお役に立てます。

海外への出願サポートも可能である

中辻特許事務所は海外における知財制度についても知見を有しており、海外への出願のご相談やサポートも可能です。

グローバル化は日々進展しており、今や海外と無縁でいられる業種は多くありません。しかし、商標登録の制度は国ごとに独立しており、日本で登録を受けた商標について保護を受けられるのは、日本国内においてのみです。

日本だけで商標登録を受けた場合、その商標がアメリカや中国で模倣されたとしても、原則として有効な法的措置を講じることはできません。そこで、アメリカで商標の保護を受けたいのであればアメリカの制度に従って、中国で保護を受けたいのであれば中国の制度に従って商標登録を受ける必要があります。

中辻特許事務所は、企業の海外展開を見据えた知財のアドバイスやサポートも可能です。

まとめ

商標登録の概要や商標が類似か否かを判断する際の主な視点、商標が類似か否か判断に迷った際に弁理士へ相談するメリットなどを解説しました。

商標とは、自社の商品やブランドなどを表す標章です。商標について出願をして登録を受けることで、登録を受けた区分の商品・サービスについて、排他独占的にその商標を使用することが可能となります。

商標登録を受けることで効果的なブランディングがしやすくなるほか、侵害時の法的措置もとりやすくなるなどの効果が期待できるでしょう。

その反面、自社が新たに商標の使用を始めようとする際には、他社の商標権を侵害しないよう注意しなければなりません。商標権を侵害した場合には、たとえ故意でなかったとしても、差止請求や損害賠償請求などの法的措置の対象となります。

そして、同一・類似の区分において同一の商標を使用することが侵害行為にあたることはもちろん、類似商標の使用であっても侵害行為にあたる可能性があります。

ある商標が他の商標と類似しているか否かは外観や呼称、観念がそれぞれ似ているか否かとの視点から判断されるものの、どこまでがセーフでどこからが侵害であるのか明確な線引きがあるわけではありません。商標が類似かどうかを自社で判断することは容易ではないため、お困りの際は弁理士への相談をおすすめします。

自社の商標が他社の商標を侵害しないか否か判断に迷った際や、自社をより飛躍させるための商標出願をご検討の際などには、中辻特許事務所までお気軽にご相談ください。