
特許事務所に相談した経験がなく弁理士の知人もいない場合、「何を相談すればよいのか」「どのような視点で特許事務所を選べばよいのか」など迷ってしまうことも多いでしょう。
では、特許事務所に相談できるのは、どのような場面なのでしょうか?また、特許事務所はどのような視点で選定すればよいのでしょうか?
今回は、特許事務所へ相談すべき主な場面を紹介するとともに、特許事務所の選び方や探し方などについてくわしく解説します。
なお、特許事務所とは弁理士が業務を行う事務所であり、「弁理士事務所」と同義です。また、特許事務所の中には「弁理士法人」も存在しますので、この記事では弁理士法人を含めて「特許事務所」と呼称します。
特許事務所(弁理士)に相談すべき主な場面
知的財産を自社のビジネスにうまく取り入れている企業は、特許事務所と「かかりつけ医」のような関係を築いています。すなわち、何か大きなできごとが生じたときだけではなく、知的財産について不安や心配が生じた際に気軽に相談できるイメージです。
とはいえ、これまで面識のなかった弁理士とはじめから顧問契約を締結することは現実的ではなく、まずは単発の依頼で特許事務所の力量や弁理士との相性などを確認したうえで顧問契約を検討することが多いでしょう。
また、顧問までは求めておらず、単発の業務だけを依頼したい場合もあると思います。そこではじめに、特許事務所に最初に相談するきっかけとなりやすい場面を4つ紹介します。
- 特許や商標などの出願をしたい場合
- 他者の権利を侵害しないか否か調査したい場合
- 知財に関する契約を締結したい場合
- 自社の知財戦略を策定したい場合
特許や商標などの出願をしたい場合
弁理士は知的財産の専門家であり、特許や商標、意匠、実用新案などの出願にあたってアドバイスをしたり、代理人となって出願したりすることができます。そのため、特許事務所にはじめに相談する場面としては、特許権や商標権などの知的財産権の獲得を目指す場面が大半でしょう。
なお、弁理士は単に書類を整えて特許庁に出願する役割だけを担うのではありません。弁理士は、出願対象の選定や出願内容の検討、権利が獲得できるか否かの調査などからサポートすることが一般的です。
他者の権利を侵害しないか否か調査したい場合
知的財産権を獲得できれば、発明(特許権)や商標(商標権)などの知的財産を強力に保護することが可能となります。その反面、他者の知的財産権を侵害しないよう注意しなければなりません。
他者の知的財産権を侵害すると、たとえ故意でなかった(他者の権利の存在を知らなかった)としても、差止請求や損害賠償請求などの法的措置の対象となります。このような請求がなされれば、損害賠償金の支払いや流通させた侵害品の回収などで、多大な損失を被るおそれがあります。
そのような事態を回避するため、発明を実施しようとする際や新たな商標を使い始めようとする際などには、これが他者の権利を侵害しないか否かを調査すべきです。
とはいえ、的確な権利調査を自社で行うことは容易ではありません。そこで、他者の権利を侵害しないための事前調査を依頼する目的で特許事務所の門を叩くことが多いといえます。
知財に関する契約を締結したい場合
知的財産権は自社で実施したり使用したりするほか、他社にライセンスをして対価を得ることも可能です。また、知的財産権を譲渡(売買)する場合もあります。
しかし、知的財産権のライセンス契約や譲渡契約には注意点が少なくありません。よく理解しないままインターネット上で見つけたひな型などを流用して契約を締結してしまうと、想定とは異なる事態が発生し後悔するおそれがあります。
そこで、契約内容についてあらかじめ特許事務所へ相談する場合があります。
自社の知財戦略を策定したい場合
知財戦略とは、文字どおり知的財産にまつわる戦略です。単独で機能するものではなく、自社の経営戦略とリンクさせて策定することが一般的です。
知財戦略がなく行き当たりばったりで知的財産の獲得を進めると、獲得した知的財産権に漏れや無駄が生じやすくなります。
一方で、経営戦略とリンクさせた綿密な知財戦略を策定した場合には、漏れのない的確な権利獲得がしやすくなり、自社の優位性を確保しやすくなるでしょう。なぜなら、知財戦略を構築することで、目的から逆算をして的確な「陣地」すなわち知的財産権の獲得を進めることが可能となるためです。
知財戦略の策定には知的財産に関する深い理解と高い戦略的思考力が必要であり、自社だけでこれを練り上げることは容易ではありません。そこで、戦略的思考を強みとする特許事務所へサポートを依頼することが多いといえます。
特許事務所の主な探し方・選び方
特許事務所に相談しようにも、探し方がわからない場合も多いと思います。そこでここでは、特許事務所の主な探し方と選び方の概要について解説します。
- インターネットを利用する
- 地域の弁理士会に紹介を依頼する
- 知財セミナーなどに参加する
- 信頼できる士業(弁護士など)から紹介を受ける
- 親しい経営者などから紹介を受ける
インターネットを利用する
1つ目は、インターネットを利用して探す方法です。
依頼したい内容に合わせて「特許出願 特許事務所」や「弁理士 商標」などと検索すると、さまざまな特許事務所がヒットすることでしょう。特許事務所にホームページがある場合には取扱分野や力を入れている分野などの記載があることが多いため、特許事務所を選ぶ際の参考となります。
地域の弁理士会に紹介を依頼する
2つ目は、地域の弁理士会に紹介を依頼する方法です。
弁理士会とは弁理士が所属している団体であり、地域ごとに支部が設けられています。ここに連絡することで、紹介を受けられる可能性があるでしょう。
ただし、紹介を受けた弁理士が必ずしも自社のニーズを満たすか否かはわかりません。そのため、はじめから依頼を決めるのではなく、まずは初回相談をしたうえで依頼するか否かを検討することをおすすめします。
知財セミナーなどに参加する
3つ目は、知財セミナーなどに参加し、登壇した弁理士へコンタクトをとる方法です。
この方法は、セミナーの様子から弁理士の人となりや主力業務が分かったうえで依頼できる点がメリットでしょう。ただし、知財セミナーなどへ登壇する弁理士は多忙であることも多く、すぐに相談や依頼を受けてもらえない可能性もあります。
信頼できる士業(弁護士など)から紹介を受ける
4つ目は、信頼できる士業などから紹介を受けることです。
弁護士や税理士などのいわゆる「士業」は横のつながりを持っていることが多く、弁理士と付き合いがあることも少なくありません。信頼できる士業がいる場合は、紹介を依頼することで、自社に合った優秀な特許事務所を紹介してもらえる可能性が高くなるでしょう。
親しい経営者などから紹介を受ける
5つ目は、親しくしている経営者仲間などから紹介を受けることです。知財に力を入れている経営者仲間がいる場合は、紹介を依頼することで優秀な弁理士の紹介を受けられる可能性が高くなります。
ただし、同業であるなどの理由から紹介元の企業と自社との間の利益が対立し得る場合には、特許事務所側から依頼を断られる可能性があります。なぜなら、双方から依頼を受けてしまえば弁理士に利益相反が生じるおそれがあるためです。
特許事務所の選定を誤った場合に生じ得る主なリスク
弁理士である以上は国家試験をクリアしているのであり、知的財産に関する深い知識を有していることは大前提です。しかし、弁理士は高度な専門職であるうえ弁理士も「人」である以上、業務の遂行能力などは事務所によって異なります。
では、特許事務所の選定を誤った場合、どのようなリスクが生じ得るのでしょうか?ここでは、主なリスクを4つ解説します。
- 獲得できたはずの権利取得を逃してしまう
- 権利に漏れが生じて不利となる
- 価値の低い権利を獲得してしまう
- 海外進出の障害が生じる
獲得できたはずの権利取得を逃してしまう
弁理士は、単に出願書類を整える役割だけを担うのではありません。将来の展望や企業の目的などから取得すべき権利を選定したり、出願内容を検討したりする段階からサポートを行います。
なかでも、知的財産権のうち特に難易度が高い特許の出願にあたっては、出願内容についての慎重な検討が必要です。特許の請求範囲が広すぎるなど出願内容に問題があると、獲得できたはずの権利を逃してしまうかもしれないためです。
権利に漏れが生じて不利となる
権利に漏れが生じないよう的確な助言をすることも、弁理士が担う重要な役割の一つです。
たとえば、商標はあらゆる商品やサービスについて権利が及ぶものではなく、出願時に選定した商品・サービスの区分(複数選択可)においてのみ排他的使用が可能となるものです。必要な区分に漏れがあると、その区分の商品・サービスにおいて他者に商標の無断使用を赦す事態となり、大切な商標を適切に守ることができません。
価値の低い権利を獲得してしまう
知的財産は、ただ取得すればよいというものではありません。特に特許においては、価値の低い権利を得てしまわないよう注意が必要です。
先ほど解説したように、特許の請求範囲が広すぎると他者にすでに出願された発明の内容などと抵触し、特許を受けられないリスクが高くなります。一方で、拒絶査定を恐れるあまり請求範囲に不要な限定をつけるなどして範囲を狭め過ぎてしまうと、せっかくの発明が使い勝手の悪い特許となりかねません。
使い勝手の悪い特許は他者によるニーズが低く、ライセンスなどによる収益化が困難です。それに加え、特許を維持するには定期的に特許庁へ定期的に費用(特許年金)を支払う必要があり、価値の低い権利を得れば無駄なコストが生じ続けるおそれがあります。
海外進出の障害が生じる
特許権や商標権などの知的財産権は「属地主義」を採っており、日本でだけ権利を得た場合に保護を受けられるのは、日本国内においてのみです。海外でも保護を受けたい場合は、保護を受けたい国ごとに登録を目指さなければなりません。
昨今では海外展開を予定する企業も多く、これを見据えた知財戦略は不可欠でしょう。そうであるにもかかわらず、相談した特許事務所が海外の知財制度に疎く日本国内にしか目を向けていないと、自社が海外への出願の必要性に気付く前に、海外において他社に権利を先取りされてしまうかもしれません。その結果、事実上その国への進出が不可能となるおそれもあります。
特許事務所の主な選び方
特許事務所は、どのような視点で選定すればよいのでしょうか?ここでは、ここまで解説した内容も踏まえ、特許事務所の選び方のポイントを解説します。
- 専門性
- サポート内容
- 海外出願への対応
- 戦略的思考の有無
- 料金
- 相談の利便性
専門性
1つ目は、専門性です。
特許事務所には、それぞれ得意分野がある場合があります。たとえば、「商標に強い事務所」や「特許に強い事務所」「海外展開に強い事務所」などです。自社のニーズや今後の展望に合わせて、適切な特許事務所を選定しましょう。
サポート内容
2つ目は、サポート内容です。
たとえば、インターネット上で「商標 代行」などと検索すると、安価で出願を請け負う事務所や仲介サイトなども見つかるでしょう。しかし、非常に安価である場合は書類の作成や出願代理などだけがサポート範囲であり、出願内容のアドバイスや事前調査は行わない(または別料金である)可能性があります。
また、「かかりつけ医」のような長期的なお付き合いを希望する場合には、顧問契約を展開している特許事務所を選定するべきであるものの、顧問契約を行わない事務所もあります。
特許事務所といってもサポート内容が異なる可能性があることを踏まえ、自社の希望するサービスが受けられる事務所を選定しましょう。
海外出願への対応
3つ目は、海外出願への対応です。
海外展開をまったく検討していない場合、日本国内の実績だけで特許事務所を選定しても構わないでしょう。将来的に海外展開の可能性が少しでもあるのであれば、海外の制度についてもアドバイスを受けられる特許事務所を選定すべきです。
戦略的思考の有無
4つ目は、弁理士の戦略的思考の有無です。
特に、重要な特許出願を任せたい場合や継続的に知財のパートナーとなるべき特許事務所を探している場合には、戦略的思考を有する弁理士を選定すべきです。
とはいえ、戦略的思考は客観的な指標で測れるものではありません。そのため、面談時などに弁理士の思考の流れなどを確認するなど、自身の目で弁理士の力量を見極めることをおすすめします。
料金
5つ目は、料金です。現実的な問題として、弁理士報酬も特許事務所を選ぶ一つの視点となるでしょう。
ただし、報酬の安さだけで特許事務所を選ぶことはおすすめできません。なぜなら、先ほども解説したように、弁理士は単に書類を整えるだけではなく、企業の知財のパートナーともなるべき高度な専門職であるためです。
報酬の安さだけで弁理士を選ぶと、先ほど紹介したようなリスクが生じ後悔する事態ともなりかねません。
相談の利便性
6つ目は、相談の利便性です。
現実的な問題として、特許事務所が非常に遠方にあり、オンライン相談などにも対応していない場合、よほどその弁理士に依頼したいと考える強い理由がある場合を除いて、依頼の選択肢からは外さざるを得ないでしょう。
一方で、近年ではオンライン相談に対応している特許事務所も増えています。そのため、遠方であっても事務所まで出向かずに相談できる手段がある場合は、選択肢に入るかもしれません。
特許事務所の選定でお悩みの際は中辻特許事務所までまずはご相談ください
特許事務所の選定でお悩みの際は、中辻特許事務所までお気軽にご相談ください。最後に、中辻特許事務所の主な特長と強みを4つ紹介します。
- 戦略的思考を得意としている
- クライアントからの満足度が高い
- 生成AIやWeb3.0など最新技術にも対応できる
- 海外への出願サポートも可能である
戦略的思考を得意としている
中辻特許事務所の代表である中辻は、陸自幹部技術高級課程を経た異色の経歴の持ち主です。この経歴を生かし、企業の強みを最大限生かしビジネスで勝つ知財戦略の策定や、企業が優位性を確保するための特許出願などを得意としています。
クライアントからの満足度が高い
中辻特許事務所は、ご依頼いただいたクライアント様の満足度の高さを誇っています。有り難いことに、Google マップにおいても高評価の口コミをいただいています。
生成AIやWeb3.0など最新技術にも対応できる
中辻特許事務所の弁理士は生成AIやWeb3.0など最新技術にも精通しており、生成AIやWeb3.0など最新技術も把握しております。最新技術を把握したうえで、今後の技術動向にも対応できる「攻め」の権利取得を目指します。
海外への出願サポートも可能である
中辻特許事務所は海外の知財制度も熟知しており、海外への出願サポートの対応も可能です。グローバル化が進行する昨今、海外と無縁でビジネスを進めることは困難でしょう。海外での知財保護をご検討の際は、中辻特許事務所へご相談ください。
まとめ
特許事務所に相談すべき主な場面を紹介するとともに、特許事務所の選び方や見つけ方などについて解説しました。
特許事務所とは、弁理士が業務を行う事務所です。事務所ごとに「色」がある場合があり、商標に特化した事務所や特許に特化した事務所などさまざまな事務所があります。
「かかりつけ医」のような長期的な伴走をご希望の際は、戦略的な思考を有し、長期的な成長をともに目指してくれる事務所を選定するとよいでしょう。また、海外展開の可能性がある場合には、海外の事情にもくわしい特許事務所を選定することをおすすめします。
中辻特許事務所は技術理解力や思考力、論理力を駆使し、クライアント様の知的財産獲得をサポートします。自社の知財レベルを格段に高めるサポートが受けられる特許事務所をお探しの際は、中辻特許事務所までお気軽にご相談ください。