Published On: 2025年4月21日Categories: その他By
特許出願の費用・弁理士報酬は?費用の削減方法を弁理士がわかりやすく解説

特許出願にあたっては、弁理士報酬や出願手数料、審査請求料などさまざまな費用がかかります。

では、具体的にどのような費用がどの程度かかるのでしょうか?また、特許出願にかかる費用を削減する方法はあるのでしょうか?

今回は、特許出願にかかる主な費用や弁理士報酬の目安を紹介するとともに、費用を削減する方法や費用を支払うタイミング、弁理士に依頼しなかった場合に生じ得るデメリットなどについてくわしく解説します。

なお、当事務所「中辻特許事務所」は、電気、機械、通信、半導体、ビジネスモデル等の既存の技術分野だけでなく、ブロックチェーン、生成AIなどの最新技術や難解な数学的案件などにも対応が可能です。特許出願について実績豊富な弁理士をお探しの際は、中辻特許事務所までご相談ください。

特許出願にかかる主な費用一覧

はじめに、特許出願にかかる主な費用について解説します。

  • 弁理士報酬
  • 出願手数料
  • 電子化手数料
  • 審査請求料
  • 特許年金

弁理士報酬

特許出願は、弁理士に依頼して行うことが一般的です。

弁理士報酬は自由化されており事務所によって報酬額や報酬体系も異なるため、金額を一律に記載できるものではありません。ただし、目安としては弁理士会が公表しているアンケート結果が参考になります。

「特許事務報酬(弁理士手数料)に関するアンケート結果(平成15年5月30日)」によると、特許出願を依頼した場合の弁理士報酬の目安は、次のとおりです。

特許出願の手数料(着手金) 25~35万円(回答者全体の81.1%)
謝金(成功報酬) 10~13万円(回答者全体の54.0%)

ただし、この回答は「明細書15頁、請求項5、図面5枚、要約書1枚の場合」を前提としており、出願のボリュームが大きい場合には追加料金となる可能性があります。

また、このアンケートは平成15年に実施されたものであり、アンケートの実施から20年以上が経っていることにもご注意ください。

弁理士に特許出願を依頼する際は、あらかじめ見積もりをとることをおすすめします。

出願手数料

特許を出願する際は、特許庁に出願手数料を支払わなければなりません。1つの出願あたりの手数料の額は14,000円です。

電子化手数料

特許の出願は、書面もしくはインターネットから行います。

ただし、書面で出願する場合には電子化手数料がかかります。電子化手数料の額は書面のページ数によって変動し、次の式で算定されます。

  • 電子化手数料の額=2,400円+(800円×書面のページ数)

審査請求料

特許を出願するとまずは方式審査がなされ、その後実体審査に移行します。この実体審査に移行させる際には、特許庁に別途審査手数料を納めなければなりません。

審査手数料の額は、次のとおりです。

  • 審査手数料の額=138,000円+(4,000円×請求項の数)

特許年金

特許査定がなされて権利化できることが決まったら、特許権を発生させるために特許年金を支払います。特許年金は本来毎年発生するものであるものの、1年目から3年目の分については登録時点でまとめて納める運用がされています。

その後、4年目分以降は毎年納めることもできる一方で、複数年分をまとめて支払うことも可能です。特許年金の額は、原則としてそれぞれ次のとおりとされています。

項目 金額(1年分)
第1年から第3年まで 4,300円+(請求項の数×300円)
第4年から第6年まで 10,300円+(請求項の数×800円)
第7年から第9年まで 24,800円+(請求項の数×1,900円)
第10年から第25年まで 59,400円+(請求項の数×4,600円)

特許出願の流れと費用支払いのタイミング

特許出願にかかる費用は、どのタイミングで支払うものなのでしょうか?ここでは、出願までの全体の流れを紹介するとともに、費用を支払うタイミングを解説します。

  • 弁理士への相談・依頼
  • 先行技術調査
  • 出願準備
  • 特許出願・方式審査
  • 出願審査請求・実体審査への移行
  • (拒絶理由がある場合)拒絶理由通知
  • 意見書・補正書の提出
  • 特許査定
  • 特許料の納付

弁理士への相談・依頼

はじめに、出願について弁理士へ相談します。顧問などでない場合は相談料がかかることもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。見積もりなどを確認してその弁理士に正式に依頼することとなった場合には、手数料(着手金)を支払います。

先行技術調査

続いて、先行技術調査を行います。先行技術調査とは、特許出願を検討している発明がすでに他社によって出願されていないかなどを調べるものです。

先行技術調査の結果、抵触する権利の存在が発覚した場合には、出願を取りやめたりその他社の権利を回避する形での出願を検討したりします。なお、先行技術調査は弁理士に依頼することも多いものの調査料が別途必要となることが多いため、事前に確認しておくとよいでしょう。

出願準備

先行技術調査を踏まえて出願することが決まったら、出願の準備を行います。書類作成自体は弁理士が行うものの、弁理士が正しく技術の内容や最終的な目的などを理解し的確な出願を行うため、複数回の打ち合わせを行います。

特許出願・方式審査

準備が整ったら、特許庁へ出願します。この時点で、出願手数料(書面出願の場合には、これに加えて電子化手数料)を納めます。出願をすると、特許庁にて方式審査(形式審査)がなされます。

出願審査請求・実体審査への移行

方式審査を終え実体審査に移行させるには、別途出願審査請求を行わなければなりません。この時点で、審査請求料を納めます。なお、出願審査請求は出願から3年以内に行えば問題ありません。

(拒絶理由がある場合)拒絶理由通知

拒絶理由がある場合は、特許庁から拒絶理由通知がなされます。これは、「現時点で拒絶理由がある」ことを通知するものに過ぎず、拒絶査定が確定したわけではありません。

意見書・補正書の提出

拒絶理由通知が届いた場合、これに対して意見書や補正書を提出します。これにより拒絶理由が解消されれば、特許査定が受けられるためです。意見書や補正書の対応を弁理士に任せた場合、別途報酬がかかる場合もあります。

特許査定

拒絶理由がない場合や、意見書などにより拒絶理由が解消された場合には、特許査定がなされます。一方で、拒絶理由が解消されない場合には拒絶査定となり、特許を受けることはできません。

特許料の納付

特許査定を受けたら、特許料(1年目から3年目までの特許年金)を納めます。これをもって、特許権が発生します。併せて、弁理士に謝金(成功報酬)を支払います。

特許出願にかかる費用を削減する方法

特許出願にかかる費用を削減するには、どのような方法があるのでしょうか?ここでは、費用を削減する主な方法を2つ紹介します。

  • 減免制度を活用する
  • 無駄な出願を避ける

減免制度を活用する

1つ目は、減免制度を活用することです。

審査請求料と特許年金(第1年分から第10年分)には減免制度が存在します。減免の対象者と減免割合は、それぞれ次のとおりです。

対象者 審査請求料・特許料(第1年分から第10年分)
中小企業 1/2に軽減
小規模企業・中小スタートアップ企業 1/3に軽減
大学等 1/2に軽減
福島特措法認定中小 1/4に軽減
生活保護受給者、市町村民税非課税者 免除または1/2に軽減
所得税非課税者、法人税非課税中小企業 1/2に軽減

要件を満たす場合には、減免制度を漏れなく活用しましょう。

無駄な出願を避ける

2つ目は、無駄な出願を避けることです。

特許査定の見込みがないにもかかわらず出願してしまうと、出願手数料や審査請求料の支払いが無駄になってしまいます。たとえ拒絶査定となったとしても、これらが返還されることもありません。そのため、あらかじめ先行技術調査を徹底し、無駄な出願は避けるべきでしょう。

特許出願費用を抑えるために弁理士に依頼しないことで生じるリスク

特許出願の費用をできるだけ抑えたい場合、弁理士に依頼せずに行おうと考えるかもしれません。しかし、自社出願にはさまざまなリスクがあります。ここでは、主なリスクを4つ解説します。

  • 無駄な出願をして無駄な費用が掛かる
  • 取得できたはずの特許獲得を逃してしまう
  • 価値の低い特許を取得してしまう
  • 膨大な手間が生じる

無駄な出願をして無駄な費用が掛かる

弁理士に依頼しないことで弁理士費用は削減できる一方で、無駄な特許出願をしてしまい余分な出願費用や審査請求料などがかかる可能性があります。特に審査請求料は決して安い金額ではなく、拒絶査定となる可能性が高いのであればできるだけ支払いを避けたいことでしょう。

また、特許はたとえ拒絶査定となる場合であっても、出願から1年6か月後には出願内容が公開されることにも注意しなければなりません(特許法64条)。つまり、特許となる見込みが低いにもかかわらず出願をすることは無駄な費用がかかるのみならず、自社の技術を全世界に公開する結果になってしまうということです。

特許出願を弁理士に依頼した場合には権利化の見込みの有無があらかじめ判断しやすくなり、これを踏まえて出願するか否かを慎重に検討することが可能となります。

取得できたはずの特許獲得を逃してしまう

弁理士に依頼せずに自力で出願する場合、取得できたはずの特許権の獲得を逃してしまうおそれがあります。

弁理士は、単に特許の出願書類を整えたり出願手続きを代行したりする役割だけを担うのではありません。特許出願の実績が豊富な弁理士は、権利化の見込みや取得する権利の価値最大化などの視点から、出願内容を慎重に検討したりアイデアをブラッシュアップしたりする段階からサポートします。

これには非常に高度なノウハウを要し、単に特許法を読み込んだりインターネットで情報を調べたりするだけで身につくものではありません。特許出願に強みを有する弁理士のサポートを受けることで、権利化の可能性を高めることが可能となります。

なお、中辻特許事務所は特許出願について豊富な実績を有しており、難解な数学的案件や生成AIなどの最新技術を含む案件についても対応が可能です。お困りの際は、お気軽にご相談ください。

価値の低い特許を取得してしまう

弁理士に依頼しない場合、せっかく獲得した特許が価値の低いものとなるおそれがあります。

特許は取得自体がゴールではなく、取得した特許を活用して自社のビジネスを発展させた利、競争力や交渉力を高めることなどが目的であるはずです。そのため、出願にあたっては単に権利化だけを目指すのではなく、獲得する特許権の価値を最大化することも目指すべきでしょう。

しかし、権利化を目指しつつ価値の最大化を図るには絶妙なバランス感覚が必要です。なぜなら、特許請求の範囲が広いとそれだけ価値は高くなりやすい一方で、他社の権利と抵触して権利化できない可能性が高くなるためです。

反対に、特許請求の範囲を狭めると権利化の可能性は高まる一方で、範囲を狭め過ぎると使い勝手が悪くなるため価値は低くなる傾向にあります。

価値の低い特許権は使い勝手が悪いうえ、特許年金などの維持費がかかり続けます。また、使い勝手の悪い特許を欲しがる企業は少ないため、他社にライセンスしたり譲渡したりすることも容易でなく、取得したことを後悔さえするかもしれません。

自力で出願する場合、この絶妙な判断をすることは困難でしょう。弁理士に依頼することで、獲得する特許の価値最大化をはかりやすくなります。

膨大な手間が生じる

特許の出願には、膨大な手間と時間を要します。弁理士に依頼しなければ費用は削減できるかもしれませんが、その分だけ担当する従業員に相当の不可がかかるでしょう。

弁理士に依頼することで、自社で要する手間と時間を最小限に抑えつつ、的確な権利獲得を目指すことが可能となります。特許出願をご検討の際は、中辻特許事務所までお気軽にご相談ください。

特許出願費用に関する主な注意点

特許出願費用について調べる際は、誤解のないよう注意しなければなりません。ここでは、特許出願費用にまつわる主な注意点を3つ解説します。

  • 弁理士報酬は一律ではない
  • 出願内容(ボリューム)によって報酬が変動する可能性がある
  • 海外出願は個別でしか算定できない

弁理士報酬は一律ではない

注意点の1つ目は、弁理士費用は一律ではないことです。

先ほども解説したように、弁理士費用は自由化されており、何らかの基準があるわけではありません。さきほど紹介した弁理士報酬の目安はあくまでもアンケート結果に過ぎず、参考値でしかないということです。

そのため、特許出願を依頼しようとする際は、トータルでかかる費用をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

出願内容(ボリューム)によって報酬が変動する可能性がある

注意点の2つ目は、出願のボリュームなどによって報酬が変動し得ることです。

冒頭で紹介したアンケート結果は一定の条件を前提とした金額に過ぎず、「どのような特許出願でも、この程度の費用が一般的」ということではありません。出願時に作成する書類のボリュームが多い場合や内容が複雑である場合などには、弁理士報酬も高くなることが一般的です。

表面上の金額がアンケート結果と比較して高額であるからといって、その事務所が不相当な高額請求をしているとは限りません。金額が不明瞭であると感じる場合には、報酬の内訳を確認するとよいでしょう。

海外出願は個別でしか算定できない

注意点の3つ目は、海外に出願する場合の報酬は個別に算定するほかないことです。

特許は全世界で通用するものではなく、日本だけで特許を取得した場合に発明の保護が受けられるのは、日本国内においてのみです。そのため、中国で保護を受けたいのであれば中国で、アメリカで保護を受けたいのであればアメリカで、それぞれ特許を受けなければなりません。

この場合においては、必要となる手続きや流れなどが国によって異なるため、一律に「一般的な費用」を算定することは困難です。そのため、海外への出願をご希望の際は、弁理士に個別で見積もりをとるほかないでしょう。

中辻特許事務所は特許出願について豊富な実績を有しており、海外への出願についても対応が可能です。海外でも発明の保護を受けたい場合には、中辻特許事務所までご相談ください。

特許出願は中辻特許事務所へお任せください

特許出願をご希望の際は、中辻特許事務所にお任せください。最後に、当事務所の主な特長を4つ紹介します。

  • 複雑な案件や最新技術にも対応している
  • 戦略的思考に強みを有している
  • ご依頼者様からの満足度が高い
  • 海外への出願にも対応している

複雑な案件や最新技術にも対応している

中辻特許事務所は、難解な事案や生成AI、Web3.0などの新しい技術にも対応可能です。そのため、やり取りの負担が少ないうえ、的確な権利獲得を目指しやすくなります。

また、取得する権利の価値をより高めるため、アイデアのブラッシュアップ段階からのサポートも可能です。

戦略的思考に強みを有している

中辻特許事務所の代表・中辻は、防衛大学校理工学研究科を修了し陸自幹部技術高級課程を経ている異色の経歴を有しています。この経験で培われた戦略的思考を最大限活用し、クライアントが特許という「陣地」をより有効に獲得していくための戦略策定をサポートします。

ご依頼者様からの満足度が高い

中辻特許事務所はご依頼者様からの高い満足度を誇っており、Google マップでも高評価をいただいています。これは、当事務所の弁理士が1社1社のクライアントの成功を目指し真摯にサポートしている結果であると自負しています。

海外への出願にも対応している

グローバル化が進行する昨今、海外で知財の保護を受けたいと考えるケースも増えています。中辻特許事務所は海外への出願にも対応しているため、海外進出をご検討の際などにも安心してお任せいただけます。

まとめ

特許出願にかかる費用や弁理士報酬の目安を紹介するとともに、特許出願の一般的な流れや費用を軽減する方法、弁理士に依頼しない場合に生じる主なリスクなどを解説しました。

特許を受けるには、出願手数料や審査請求手数料、特許年金などさまざまな費用がかかります。また、特許出願を弁理士に依頼した場合には、別途弁理士報酬も必要です。

弁理士報酬の目安は弁理士会が公開しているアンケート結果が参考になるとはいえ、事務所ごとに報酬額・報酬体系が異なることや、出願のボリュームなどによっても費用が変動することに注意すべきでしょう。

弁理士に依頼した場合には費用がかかる一方で、弁理士に依頼しない場合に生じ得るリスクの大きさははかり知れません。ビジネスの成長に寄与するより価値の高い特許権の獲得を目指したいのであれば、信頼できる弁理士に特許出願を依頼することをおすすめします。

中辻特許事務所は特許出願について豊富な実績を有しており、難解な数学的案件や生成AIなどの最新技術を含む出願にも対応可能です。また、戦略的思考を強みとしており、知財戦略の策定やアイデアのブラッシュアップ段階からのサポートも可能です。

自社の競争力や交渉力をより高めるための特許出願をご希望の際は、中辻特許事務所までお気軽にご相談ください。