Published On: 2025年4月21日Categories: 先行技術調査By
先行技術調査の費用の目安は?弁理士がわかりやすく解説

特許を出願する前には、先行技術調査をすべきです。では、先行技術調査はどのような目的で行う調査なのでしょうか?また、先行技術調査には、どの程度の費用がかかるのでしょうか?今回は、先行技術調査の概要や目的を解説するとともに、先行技術調査にかかる費用の目安などを解説します。

なお、当事務所「中辻特許事務所」は、単に先行技術をピックアップするだけではなく、先行技術との差別化を含めて実務的な支援を行うことができます。的確な特許出願を実現するため、先行技術調査でお困りの際は中辻特許事務所までご相談ください。

先行技術調査とは

特許調査には、主に次の4種類があります。

特許調査の種類 概要
技術動向調査(技術収集調査) 技術開発を進める前に、重複研究の防止や研究テーマの決定を目的として、関連する他社の特許やその内容などを調べるもの
侵害防止調査(権利調査) 権利侵害の防止を目的として、製品の製造・販売などを進める前に、障害となる他者の権利がないか否かを調べるもの
無効資料調査(公知例調査) 他社の特許権を無効化する目的で、無効となる根拠資料を調べるもの
先行技術調査(出願前調査) 発明の完成後、特許出願にあたって障害となる他者の権利がないか否かを調べるもの

このうち先行技術調査は、特許出願の前に行う調査です。出願前に調査を行い、出願の障害となる他者の権利の有無を確認します。

先行技術調査を行う目的

先行技術調査は、どのような目的で行うのでしょうか?ここでは、先行技術調査を実施する主な目的を2つ解説します。

  • 無駄な特許出願を避けるため
  • 出願内容を検討するため

中辻特許事務所は特許出願について豊富な実績を有しており、的確な先行技術調査をサポートします。先行技術調査の実施でお困りの際は、中辻特許事務所までご相談ください。

無駄な特許出願を避けるため

先行技術調査の最大の目的は、無駄な特許出願を避けることです。

特許を出願するには出願手数料がかかるほか、その後実体審査に移行する際は審査請求料も支払わなければなりません。特に審査請求料は高額となることもあり、無駄な支払いは避けたいことでしょう。

また、特許は出願から1年6ヶ月後に出願内容が公開されます(特許法64条)。つまり、特許を受けられる見込みがないにもかかわらず出願をした場合には無駄な費用がかかることに加えて、開発内容が全世界に公開されてしまうということです。

先行技術調査を徹底することで特許を受けられる見込みがないことを事前に察知できれば、無駄な出願をする事態を避けられます。

出願内容を検討するため

先行技術が見つかったとしても、発明の切り口や特許請求の範囲設定によりこれを回避し得るのであれば、先行技術を避ける形での出願を検討します。これも、先行技術調査の大きな目的の一つです。

ただし、無理に先行技術を避けた結果使い勝手の悪い特許となりそうな場合には、あえて出願しないことも有力な選択肢となります。使い勝手の悪い特許は価値も低く、維持費用だけが嵩む結果となる可能性があるためです。

そのため、出願するか否かについても、弁理士へ相談したうえで検討するとよいでしょう。お困りの際は、中辻特許事務所までご相談ください。

先行技術調査は誰に依頼すれば良い?

先行技術調査は、誰に依頼すればよいのでしょうか?ここでは、依頼先の選択肢を2つ紹介します。

  • 弁理士(特許事務所)
  • 特許調査会社

弁理士(特許事務所)

おすすめの依頼先は、弁理士(特許事務所)です。

弁理士は特許など知的財産を専門とする国家資格であり、特許出願の代理も可能です。そのため、出願から「逆算」をした的確な調査が可能であるほか、調査結果を踏まえた出願書類の作成や出願手続きまで任せることができます。

また、調査の結果出願を見送る場合にも、今後の権利獲得へ向けた改良の方向性や自社の知財戦略策定などについてアドバイスを受けられるでしょう。

特許調査会社

2つ目の選択肢は、特許調査会社です。

特許調査会社とは、特許調査を専門的に行う会社です。その一方で、弁理士や弁理士法人でない以上、適法に出願代理をすることはできません。

先行技術調査を弁理士に依頼するメリット

先行技術調査の費用を削減するために、自社で行う場合もあります。しかし、調査を弁理士に依頼するメリットは小さくありません。ここでは、先行技術調査を弁理士に依頼する主なメリットを4つ解説します。

  • 的確な調査が可能となる
  • 時間と労力を削減できる
  • 調査結果を踏まえた出願内容の検討が可能となる
  • 出願が難しい場合の対応策のアドバイスが受けられる

的確な調査が可能となる

1つ目は、的確な調査が可能となることです。

特許調査はGoogle検索のように感覚的にできるものではなく、特許分類を理解したうえで的確な検索式を設定しなければなりません。そのため、慣れていない人が行うと、調査に漏れが生じるリスクが高くなります。

せっかく先行技術調査を行っても調査結果に漏れがあり、結果的に無駄な出願をする事態となれば本末転倒でしょう。弁理士に先行技術調査を依頼することで、的確で漏れのない調査を実現できます。

時間と労力を削減できる

2つ目は、時間と労力を削減できることです。

先行技術調査を自社で行おうとすると、多大な時間と労力を要します。これにより、他の業務に割くべきリソースを圧迫するおそれもあるでしょう。

先行技術調査を弁理士に依頼する場合は、自社でかける手間と時間を大きく削減できます。

調査結果を踏まえた出願内容の検討が可能となる

3つ目は、調査結果を踏まえた出願内容の検討が可能となることです。

先ほど解説したように、先行技術が見つかったとしても、発明の切り口や特許請求の内容を工夫することで権利化を目指せる場合もあります。先行技術調査の段階から弁理士にサポートを依頼する場合には、調査結果を踏まえて出願内容などを検討してもらうことが可能となります。

出願が難しい場合の対応策のアドバイスが受けられる

4つ目は、現時点では出願が難しい場合の対応についてアドバイスを受けられることです。

先行技術調査で見つかった先行技術の内容によっては、現時点での出願を見送る場合もあるでしょう。先行技術調査の段階から弁理士に依頼する場合、調査結果を踏まえ、今後の改良ポイントなどについてアドバイスを受けることが可能となります。

中辻特許事務所は戦略的思考に強みを有しており、先行技術調査はもちろんのこと、長期的な視点でビジネスを飛躍させる知財戦略の策定についてもサポートが可能です。知財について困りごとが生じた際に相談できる「かかりつけ医」のような弁理士をお探しあの際は、中辻特許事務所までご相談ください。

先行技術調査にかかる費用相場

先行技術調査を依頼した場合の費用は、どの程度なのでしょうか?ここでは、費用について解説します。

費用は依頼先によって異なる

弁理士報酬は自由化されており、先行技術調査を依頼した場合にかかる費用は事務所ごとに異なります。

国などが、一律で料金を定めているわけではありません。そのため、先行技術調査を依頼する際は、あらかじめ見積もりをとるとよいでしょう。

先行技術調査の費用の目安

先行技術調査を依頼した場合の弁理士報酬は事務所ごとに異なるとはいえ、目安がわからなければ不安に感じることも多いでしょう。その際は、弁理士会が実施している報酬アンケートが参考となります。

弁理士会が公表している「平成18年特許事務報酬(弁理士手数料)に関するアンケート結果」によると、特許出願のための先行技術の簡易調査の調査料のアンケート結果は次の通りです。

分類 調査料 割合
一律に一定の額である場合 2万~3万円 10.8%
1万~2万円 8.5%
3万~4万円 8.3%

タイムチャージ制である場合

(1時間あたりの報酬額)

1万~2万円 14.8%
5千~1万円 8.5%
2万~3万円 5.0%

ただし、これはあくまでもアンケート結果であり、実際の報酬額は事務所ごとに異なることに注意が必要です。また、平成18年(2006年)の調査であり調査から20年弱の期間が経過していることにも注意すべきでしょう。

また、あくまでも「簡易調査」を前提とした報酬であり、より詳細な調査が必要な場合にはさらに費用がかかります。

特許出願にかかるその他の費用

特許出願にあたっては、先行技術調査のほかにどのような費用がどの程度かかるのでしょうか?ここでは、主な費用について、概要と金額を解説します。

  • 弁理士報酬
  • 出願手数料
  • 電子化手数料
  • 審査請求料
  • 特許年金

弁理士報酬

1つ目は、弁理士報酬です。

的確な特許出願をするには、弁理士に依頼して行うことをおすすめします。無理に自社で行おうとすると、獲得できたはずの特許の取得を逃してしまう可能性があるほか、せっかく獲得した特許が価値の低いものとなるおそれなどがあるためです。

弁理士報酬は自由化されているため、先行技術調査の報酬と同じく、特許出願の報酬も事務所によって異なります。目安として、弁理士会が公表している「特許事務報酬(弁理士手数料)に関するアンケート結果(平成15年5月30日)」は、次のとおりです。

種別 特許事務報酬
着手金 25万円~35万円(回答全体の81.1%)
成功報酬 10万円~13万円(回答全体の54.0%)

ただし、このアンケートも実施から20年以上が経っており、物価の変動により現在の報酬とは乖離している可能性があります。また、この回答は一定のケース(明細書15頁、請求項5、図面5枚、要約書1枚の場合)を前提としており、出願内容が複雑である場合や出願のボリュームが大きい場合などには報酬が高くなる傾向にあることにもご注意ください。

実際に依頼しようとする際は、あらかじめ個別に見積もりをとるとよいでしょう。

出願手数料

2つ目は、出願手数料です。

出願手数料とは、特許を出願するにあたって特許庁に納める手数料です。出願手数料の額は、1出願あたり14,000円です。

電子化手数料

3つ目は、電子化手数料です。

電子化手数料とは、特許出願をオンラインではなく書面で行う場合に、追加で発生する手数料です。電子化手数料の額は次の式で算出され、出願書類のページ数によって変動します。

  • 電子化手数料の額=2,400円+(800円×書面のページ数)

審査請求料

4つ目は、審査請求料です。

特許出願すると、まずは特許庁にて方式審査(形式審査)がなされます。その後は自動的に実体審査に移行するのではなく、移行させるには「出願審査請求」をしなければなりません。

出願審査請求をするには手数料の支払いが必要であり、手数料の額は次のとおりです。

  • 審査手数料の額=138,000円+(4,000円×請求項の数)

なお、この出願審査請求は出願から3年以内に行えば問題ありません。

出願審査料には減免制度が設けられているため、減免の対象とならないか否か確認しておくとよいでしょう。

特許年金

5つ目は、特許年金です。特許年金とは、特許を維持するために毎年発生する手数料です。

実体審査を経て特許査定がなされたら、特許権を発生させるために、まずは第1年目から第3年目分の特許年金をまとめて納めなければなりません。その後、第4年目分以降は毎年納めることもできる一方で、複数年分を一括で支払うこともできます。

特許年金の額は、原則としてそれぞれ次のとおりです。

項目 金額(1年分)
第1年から第3年まで(登録時一括納付) 4,300円+(請求項の数×300円)
第4年から第6年まで 10,300円+(請求項の数×800円)
第7年から第9年まで 24,800円+(請求項の数×1,900円)
第10年から第25年まで 59,400円+(請求項の数×4,600円)

特許年金には減免制度が設けられており、要件を満たすことで費用が低減されます。自社が減免制度の要件を満たすか否か、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

先行技術調査や特許出願は中辻特許事務所にお任せください

先行技術調査や特許出願は、中辻特許事務所へお任せください。最後に、当事務所の主な特長を4つ紹介します。

  • 複雑な数学的案件や最新技術にも対応している
  • 戦略的思考に強い
  • ご依頼者様からの満足度が高い
  • 海外への出願もサポートが可能

複雑な数学的案件や最新技術にも対応している

中辻特許事務所は、複雑な数学的案件にも対応できるほか、生成AI・Web3.0などの最新技術にも精通しています。そのため、コミュニケーションの負担が少ないほか、的確な先行技術調査や出願が可能です。

戦略的思考に強い

中辻特許事務所の代表・中辻は陸自幹部技術高級課程や陸自装備開発を経て弁理士登録をした異色の経歴の持ち主であり、戦略的思考に強みを有しています。

そのため、企業がビジネスを優位に進めるための知財戦略の策定や、より価値の高い特許取得を目指したアイデアのブラッシュアップ段階からのサポートも可能です。

ご依頼者様からの満足度が高い

中辻特許事務所はご依頼者様からの満足度が高く、Googleマップでも高い評価をいただいています。これは、当事務所が技術理解力や思考力、論理力を駆使し、クライアントの知的財産獲得を真摯にサポートしている結果であると自負しています。

海外への出願もサポートが可能

中辻特許事務所は、海外への出願もサポートしています。

特許は属地主義を採っており、たとえばアメリカで保護を受けたいのであれば日本で特許を受けるだけでは足りず、アメリカでも特許を取得しなければなりません。海外展開をする企業も多い中、海外出願をすべきケースは少なくないでしょう。

中辻特許事務所は海外への出願に関するサポートも可能であるため、海外で発明の保護を受けたい場合にも安心してお任せいただけます。

まとめ

先行技術調査の概要や先行技術調査や特許出願にかかる費用、先行技術調査を弁理士に依頼するメリットなどを解説しました。

先行技術調査とは特許の出願に先立って、自社の出願に抵触する他者の出願の有無やその内容などを調べるものです。的確な先行技術調査をすることで無駄な出願を避けられるほか、先行技術の内容を踏まえて出願内容を検討することも可能となります。

自社で的確な先行技術調査をすることは容易ではないため、費用は掛かるものの弁理士へ依頼して行うとよいでしょう。

中辻特許事務所は特許出願の実績が豊富であり、先行技術調査や出願内容の検討、アイデアのブラッシュアップ段階などからのサポートが可能です。先行技術調査の依頼先をお探しの際や、自社のビジネスの成長に寄与する的確な特許取得を目指したい際などには、中辻特許事務所までお気軽にご相談ください。